高齢者とブリッジ~いつまでも頭脳明晰でいるために~
コントラクトブリッジは、おとなの「脳力」トレーニング!
年齢に伴う記憶能力の低下は、訓練によってある程度防ぐことができると言われています。そしてその訓練として、特に知的好奇心を働かせるゲームや趣味を行うことが効果的だと考えられています。
コントラクトブリッジは、多人数で楽しむ社交的なゲームですが、とりわけ、
(1)他者とコミュニケーションをとりながらゲームを進める
(2)誰がどんなカードを場に出したかを記憶することが勝利には不可欠
というゲーム特性が、記憶の訓練効果をもたらすと考えられています。
ブリッジが記憶力増進に役立つ可能性が、実験結果として認められました
ブリッジの盛んな欧米では、古くから、ブリッジが高齢者の脳にどのような良い影響をあたえているかの研究が学際的に行われてきました。日本でも2008年9月、日本心理学会第72回大会において、東京女子医科大学の研究チームが、「カードゲーム経験が高齢者における名前の記憶に及ぼす影響」という研究成果を発表しました。
この研究では、70歳前後に限定したブリッジ経験者と未経験者の2つのグループに対し、[聞いた数字を記憶し、最初から復唱する、また逆から復唱する]という課題を行った結果、単純な記憶力を測る順唱より認知的操作を必要とする逆唱においてブリッジ経験者は高い得点を挙げました。また、[一定時間内に24の名前を見て覚え、後で言う] 再生認知テストを行った結果、正答数の平均は、ブリッジ未経験者(70歳前後28名)=4.93に対し、ブリッジ経験6ヵ月以上(70歳前後29名)=6.69となり、ブリッジ経験者は未経験者の約1.35倍を記憶できていたことが証明されています。
研究の詳細については、こちらをクリックしてご覧ください。
海外メディアに掲載された「高齢者とブリッジ」に関する興味深い記事をご紹介します
「脳の力~ブリッジテーブルに明晰な老後へのヒント」
ニューヨークタイムズ紙 2009年5月21日 文:ベネディクト・キャリー氏
ロサンゼルスの南に位置し、2万人からなる壮大な退職者コミュニティーであるラグナ・ウッズは、世界最大、且つ数十年という長きに亘って行われている高齢者の肉体的および精神的鋭敏さについての研究の中心になっている。1981年に南カリフォルニア大学の研究者たちによってスタートした90+(+)と呼ばれるこの研究は、現在までに1万4千人に及ぶ65歳以上の人々と、さらに千人以上の90歳以上の人々を研究対象としてきた。このような研究は結果が実るまでに何年もかかることがあるが、この研究の結果は科学者たちの、脳の加齢についての理解を変え始めている。あるエビデンスは、一日のうちに3時間、もしくはもっと長い時間をカードゲームのような精神的アクティビティーに没頭して過ごす人々は、認知症を発症するリスクが低くなる可能性を示している。(中略)
ここラグナ・ウッズでは、多くの住民がある場所で精巧な計算を行っている。ブリッジテーブルだ。コントラクトブリッジは強い記憶力を要する。このゲームは4名が2つのペアに分かれ、それぞれのプレイヤーはプレイされたカードを常に追いかけることで、自分のパートナーの戦略を読まなくてはならない。上手なプレイヤーは場に出た全てのカードと、それがチームにとって何を意味するかを記憶している。(中略)「家の中であろうが外であろうが、とにかく関わる人が多ければ多いほど、精神的にも肉体的にも好ましいということを示すエビデンスは数多く存在します。」とカワズ博士は言う。「人々と定期的に交流することは、それが見知らぬ人であってもパズルを解く時と同じくらいの脳のパワーを容易に使います。もしそれが答えの全てであっても、私は驚きませんよ。」そしてカワズ博士は、ブリッジはこの両方の種の刺激を脳に与えるのだと付けくわえた。(以下省略)
「頭を使うゲームでアルツハイマーに勝つ。ブリッジやチェスが有効」という調査結果
ワシントンポスト紙 2003年6月19日 文:シャンカール・ヴェダンタム氏
老人層を対象に行われた、頭を使う活動の利点に関するきわめて包括的な研究によると、チェス、ブリッジ、楽器演奏などは、アルツハイマー病やその他の認知症にかかる可能性を大きく低減させると言うことだ。研究チームを統率したのはアルバート・アインシュタイン医科大学(ニューヨーク州ブロンクス)で神経科医として勤務するジョー・ヴェルギーズ医師。彼が昨日発表したところによれば、頭を使う娯楽(申し訳ないが、テレビ鑑賞はそれに入らない)を定期的に行っている老人は、行っていない人に比べて最大75%低減しているという。ボードゲーム、社会的活動、学習などを通じて頭を使うことが知的機能の低下や認知症に対して強力な予防になりうるという報告が近年増えているが、今回発表されたレポートの内容はそれを裏付けるものである。そのような頭を使った活動(誰でもでき、お金はかからない)は、教育レベルやIQを問わずに効果があるとされている。
科学的見地から同様に興味深いのは、ブリッジなどの頭を使った活動が、神経学的プロセスにおける分子の流れを変える可能性がある、という見解だ。ヴェルギーズ医師の研究を分析し「アルツハイマー病の分子的決定論が、老人のトランプ遊びによっていかに覆されるか?」と問いかけるのは、ハーバード医学校で精神医学と神経科学を教えるジョゼフ・コイル教授である。そのどちらの論文も、ニューイングランド医学ジャーナルに今日掲載された。(以下省略)
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「作業記憶と推理力のトレーニングとしてのブリッジ」
ジャーナル・オブ・ジェロントロジー/サイコロジカルサイエンス誌 vol.45 1990年
年齢が55~91歳のブリッジプレイヤーと非ブリッジプレイヤーそれぞれ50名を対象に、作業記憶、推理力、反応時間およびボキャブラリーのテストを行った。実験データは、年齢を共変量とし、分散の多変量および単変量分析を用いて分析され、ブリッジプレイヤーは作業記憶と推理力の数値において非ブリッジプレイヤー(以降「ノンプレイヤー」)に勝っているという結果となった。しかしながら反応時間とボキャブラリーについては同様の結果は得られなかった。これは、作業記憶と推理力に特定の働きをもたらすブリッジが、これらの能力に関わるタスクのパフォーマンスを向上させ、関わりのないタスクのパフォーマンスは向上させないという仮説と一致している。(中略)
多くのライフスタイル・アクティビティーは、その度合いこそ違え、心理学者によって設計されたタスクを用いて計測されるのと同じ認知技能に触れる。その例のひとつがブリッジである。シリアスなブリッジプレイヤーは各プレイヤーのビディングや既にプレイされたカードについての情報を記憶に留めようとし、同時にそれらの情報を記憶に保持したままその場のプレイを考えなくてはならない。これは試合の間中、絶えず新しい情報を記憶の倉庫に追加していく必要があるということを意味する。プレイヤーはそれまでに得たどの情報もそのまま保持し、何を用済みとして切り捨てることができるのかを決めなくてはならない。経験豊富なプレイヤーは、最大のトリック数を勝ち取るための最良の戦略を決めるために、パートナーとオポーネントの持つカードについて妥当な推測をする目的で、この記憶内の情報を利用する。プレイヤーは新しい情報を得る度に小仮説を立て、そこに修正を加える、という作業を絶え間なく行っているのである。場でプレイされたカードの一枚一枚が自分のハンドをプレイする方法を練るために不可欠な情報であり、他のプレイヤーの持つカードへのヒントを提供する。従って、ブリッジは作業記憶と推理力の両方を働かせることを必要とするアクティビティーなのである。(以下省略)
生涯教育の現場で採り入れられるブリッジ-脳トレに!仲間づくりに!と大盛況
ブリッジを楽しんでいる高齢者の人々にブリッジの良さを尋ねると、よく、「頭を使うから脳トレにいいのよ」とか「ボケ防止だよ」という答えが返ってきます。また「定年後に始めたが、ブリッジは仕事で使っていたのと同じ脳を使っている感じで、自然に入っていけたよ」との声も聞かれます。何歳からでも始められるブリッジは、一度覚えれば言葉や年齢の別なく、一生の趣味となります。実際に90歳を超えても競技会に参加する高齢者も少なくありません。「楽しく遊びながらできる脳トレに、また仲間づくりに最適」と、全国的に生涯教育の現場で盛んにブリッジ講座が採り入れられるようになっています。
体験教室
- 札幌市老人福祉センター(2009年~現在)
- 福井ライフアカデミー (2010年/2009年)
- ユー・アイ福井 (2010年5月/6月/7月/10月/12月、2006年10月、2005年6月、2004年2月)
- 足立区地域学習センター (2010年~現在)
- 渋谷区幡ヶ谷社会教育館 (2010年3月、2008年11月、2006年11月、2005年9月)
- 福井まなびフェスティバル (2010年/2009年/2008年/2007年/2006年10月)
- 横浜市老人福祉センター (2009年9月)
- 所沢市高齢者大学 (2009年6月)
- 神田雑学大学 (2006年9月)
- 新宿区生涯学習館 (2003年11月)
入門講習会
- 札幌市老人福祉センター(2009年~現在)
- ずし楽習塾(2012年/2011年)
- 足立区東和学習センター(2011年~現在)
- 栃木県シルバー大学校(2007年~現在)
- ユー・アイ福井(2010年/2009年/2008年/2007年、2006年、2005年)
- 横須賀市福祉会館(2009年10月~2010年4月)
- 横浜市老人福祉センター(2009年10月~3月)
- 渋谷区幡ヶ谷社会教育館(2007年/2006年12月~3月、2005年10月~1月)