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今日は土曜日、ミニブリッジ教室も今日で5回目だ。ブリッジセンターが横浜駅のどっち側にあるか、もう迷わなくなったよ。土曜日はホントに楽しみ!最初の頃はボクが知ってることもたくさんあったけど、この頃はいつも新しいことをいっぱい教えてもらえるんだ。今日はどんな新しいことを勉強するのかわくわくするなあ。 |
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教室に行くと、いつものように節子先生と向山先生がにこにこしながら待ってた。 |
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「橋之介君、おはよう。それでははじめましょうか。」節子先生がさっそくプリントを配りはじめた。『5.エスタブリッシュ』って大きく書いてある。うーん、なんだかむずかしそうだなぁ。
「今日はエスタブリッシュを勉強します。エスタブリッシュは、あるスーツのなかの相手側の強い絵札に負けにいったり、相手のカードを全部出させてしまったりして、自分のカードをウィナーにすることです。」
えーっと、ウィナーっていうのは とか とか他の小さい数のカードに勝てるカードだよね。ウィナーにするって、いったいどういうことなんだろ?
「ゲーム宣言をした場合、NTでは4トリック、とでは3トリック、とでは2トリック負けても大丈夫です。上手に負けて、自分のトリックを増やす工夫をしてみましょう」
ふーん。なるべく早くトリックを勝つのがいいと思うんだけど、負けてトリックを増やすの?なんだか、よくわからないなぁ。
節子先生がホワイトボードの図を指しながら、説明をはじめた。 |
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「サウスがNTでゲーム宣言をしました。オープニングリードはです。ゲームなので9トリック取る必要がありますが、すぐに取れるのは、、、の と でそれぞれ2つずつですから、どこかでトリックを増やさないといけませんね。このハンドではダミーに立派なスーツがありますから、 に負けにいってでトリックを増やしましょう。これをエスタブリッシュといいます。」
「肝心なことはすぐにのエスタブリッシュにとりかかることです。そうしないと、をどんどん攻められてしまいますからね。は さえ追い出せば、4トリック取れるようになります。」 |
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そっかー。すぐに取れるトリックは先に取らないで、思い切って先に に負けにいかないと、あとで困っちゃうんだ。は にさえ負ければ、残りは 、 、 、 、 って続いているから、勝てるカード、つまりウィナーになるんだね。なんだかだんだんわかってきたぞ。今日は「負けて勝つ」やり方のお勉強だね。
「負けにいくことを怖がらないでくださいね。」節子先生が続ける。「ブリッジをはじめたばかりの頃は負けにいくのが怖いものですが、勇気を出して負けていくとあとでいいことがありますよ。ではみなさん、練習してみましょう。」 |
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大好きなプレイの練習の時間だ。ここでしっかり勉強しなくっちゃ。あ、ボクがディクレアラーになりそうだぞ。 |
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ダミーも結構強いから、ボクはゲームに挑戦することにした。オープニングリードはだ。よし、まずはボクの で勝って、えーっと、 を取ってみよう。それからなんだっけ?そうだ!エスタブリッシュだったね。ダミーのは にさえ負ければ4つ取れるから、 に負けにいってみよう。
3トリック目に を出すと、 で勝ったオープニングリーダーがを出して、そのあと4つも取られちゃった。6枚もを持っていたんだ。あれれ~、こんなはずじゃなかったんだけどなぁ。 |
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うしろでボクたちを見ていた節子先生がにっこりして言った。「橋之介君、 は相手の自慢のスーツだから、2トリック目にまたを出してはダメよ。すぐににとりかからないと。 を2トリック目に取ってしまったから、相手のスーツのエスタブリッシュを助けてしまったわね。」
そうかー。ボク、すぐにのエスタブリッシュにとりかかったつもりだったんだけど、 が余計だったんだね。おまけに、これで相手ののエスタブリッシュのお手伝いしちゃったわけだ。それにしても、エスタブリッシュって、自分たちだけじゃなくて相手にも使える言葉なんだね。 |
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そのあともたくさんボードをプレイした。どのハンドもちゃんとエスタブリッシュの練習ができるように作ってあるんだ。みんなどんどん上手になって、最後はちゃーんとエスタブリッシュできるようになったよ。 |
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負けにいくことを怖がらない。 |
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相手側の自慢のスートのウィナーはあとで取る。 |
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今日は教室のあとにホッキョク君ちに行くから、ボクは節子先生やみんなにさよならを言って、急いでブリッジセンターを出た。今日はホッキョク君のお誕生日でパーティーがあるんだ。ホッキョク君ちはブリッジセンターからそんなに遠くないから、すぐに着いた。呼び鈴を鳴らすとホッキョク君ママが小走りにやってきた。アラスカ生まれのホッキョク君ママはすらりとした純白の毛並みの美人で、モデルもしてたんだ。
「こんにちは。遅くなりました」
「いらっしゃい、橋之介君。さあ、みんなお待ちかねよ」リビングにとおされると、ホッキョク君、ツキノワ君、エリーちゃん、カーチャちゃんが待ってた。 |
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「ホッキョク君、お誕生日おめでとう!遅くなってごめんね」ボクはプレゼントを渡しながら言った。
「おう!遅いぞ、橋之介。もうはじめてたぞ。おまえ、腹ぺこだろ。まあ、まずは腹ごしらえしろよ」クラスでいちばんのおっきな身体の両手を広げて、ホッキョク君はボクを迎えてくれた。「ありがとー。でもその前に手を洗ってくるね!」
テーブルにはおいしそうなごちそうがたくさん並んでいた。きれいに並んだチョコレートやクッキー、ハチミツたーっぷりのタルト、鮭やタラコのおにぎり、いろんなサンドイッチ、カラフルなフルーツのお皿、ホッキョク君ママ特製のフライドチキンもある。魚の形に焼いたサーモンパイはホッキョク君の大好物だ。テーブルの真ん中には、イチゴとピンクのクリームで飾られた3段重ねのバースデーケーキ!ボクの好きなあんこのお菓子はなさそうだけど、これだけ食べたらお腹いっぱいになっちゃうな。全部のお料理を食べられるかな?ママの顔が浮かんできたのでお行儀に注意しながら、ボクもさっそくテーブルについたんだ。 |
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「橋之介のプレゼント、開けていい?」腹ごしらえが一段落したところでホッキョク君が言った。
「もっちろん。気に入ってもらえるといいけど・・・」ホッキョク君が包みを開けると野球帽が出てきた。ママと妹のウィニーに見たててもらった、ちょっとかっこいいやつ。ずっと貯めてたおこづかいで買ったんだ。
「うわーお!いいな、これ。運動するときにかぶるよ。橋之介、サンキュー!!!」ホッキョク君が喜んでくれたので、ボクもうれしくなった。他のみんなからのプレゼントも、Tシャツ、リストバンド、スポーツソックス、トランクス、とスポーツマンのホッキョク君にぴったりのものばかりだ。
「お腹もいっぱいになったから、なにかゲームしようよ。」いつも段取りがいいツキノワ君が提案した。
「橋之介君、今日はミニブリッジ教室だったんでしょ。だったら、ミニブリッジやってみない?うちも両親がブリッジするから、私も前からやってみたかったの」アメリカ生まれのエリーちゃんが言った。「私もやってみたい!橋之介君、教えて」カーチャちゃんも賛成する。
「えー、ボクがみんなに教えるのぉ。そんなことできるかなぁ」とモジモジしてると、ホッキョク君が、「教室に行ってるんだろ。大丈夫だよ、ミニブリッジやってみようよ」と言ってカードを出してきた。
教えるのはちょっと自信がなかったけど、みんながミニブリッジやりたいって言ってくれたのがうれしくって、やってみることにした。5人いるからボクは先生役になることにして、他のみんなにカードを持ってもらった。
「カードを出す順番は時計まわり、 が4点、 が3点、 が2点、 が1点だね」優等生で頭の回転が速いツキノワ君が、ボクが説明したことを繰り返してくれる。ホント、ツキノワ君は頭がいいなぁ。
「あっ、ホッキョク君、となりの人のカードを見ちゃダメだよ。自分のカードも他の人に見えないように持ってね。そういうゲームだから」ボクがそう言うと、ホッキョク君はじろってボクをにらんだけど、すぐに笑って、「わかったぜ、師匠!」と言った。
「師匠なんて・・・」ボクはまっかになっちゃった。
みんなすぐミニブリッジの遊び方を覚えたので、交代で一人抜けることにして、ボクも一緒に遊んだ。学校のともだちとミニブリッジできるなんてすごい!ボク、すごっく、うれしくなちゃった。 |
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ひとしきり遊んだところでホッキョク君が言った。「なあ、これはミニブリッジって言うんだろ。本式のはなんて言うんだっけ?」
「コントラクトブリッジだよ」ボクがそう言うと、「橋之介とエリーちゃんのパパとママは、コントラクトブリッジをやってるんだよね。俺らもせっかくミニブリッジ覚えたんだから、コントラクトブリッジもやってみない?橋之介のママに教えてもらえないかなぁ」と、ホッキョク君が続けた。
正直、ボクはまだ自分自身コントラクトブリッジなんて早いって思ってた。なのに、さっき初めてミニブリッジの遊び方を覚えたばかりの、しかも普段は運動ばっかりのホッキョク君がそんなことを提案するなんて、とってもびっくりした。みんなもやってみたい、ママに聞いてみてって、ホッキョク君に賛成する。
「うん、わかった。帰ったらママにきいてみるよ」ボクもみんなと一緒ならもっと楽しいなって思って、みんなに約束した。ママ、なんて言うかなぁ。 |
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JCBL注:本文中、横浜ブリッジセンターのミニブリッジ講習会を「土曜日」としておりますが、詳しくは同センターにお問い合わせください。
(ホームページ http://www.yokohamabc.or.jp/ 、TEL:045-316-1193) |
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