「ボイドやシングルトンがあるとラフできるから、スーツコントラクトのときはHCPが少なくてもトリックを勝つことができるでしょう。だから、パートナーとフィットがあるときは、このダミー点を加算して、自分の手の価値の見直しをするんです」
「なあるほど!」ボクはぽんと手をたたいた。「ラフのパワーを点数に直して、足しちゃっていいってことなんだね。すごいや!」
「そのとおりです。でも、NTコントラクトのときにはこれは使えませんから、気をつけてくださいね。あくまで、ラフできるパワーを評価してのおまけの点数ですから」
「うん! わかった。それにしても、ツキノワ君はいつのまにダミー点のことを覚えたの?」
「両親に教わったんですよ。ほら、うちの両親はすっかりブリッジにはまっちゃてるでしょう。家ではときどき3人ブリッジもしているんです。で、新しいことを習ってくると、あれこれボクにも教えてくれるんです」
へえ、そうだったんだあ。「ツキノワ君、おうちでも学校のお勉強だけじゃなくて、ブリッジのお勉強もどんどんしているんだね。ボクも見習わなくっちゃ!」
「えっと、じゃあこのハンドはがフィットしたから9点の価値がある、だから、2をパスしちゃダメで、3か4ってことなんだね」ボクたちはまたハンドレコードの研究に戻った。
「そうそう、橋之介君、さえてますね」「い、いや、そうでもないけど…」ツキノワ君にほめられて、ボクはちょっぴり照れちゃった。
「ボクなら4って言うよ。9点もあるんだから、ゲームに挑戦しなくっちゃ!」
「賛成です。気が合いましたね。それにがQJ109と続いていることも、いい材料ですから」
「じゃあ、コントラクトはNの4。この手だといくつメイクするかなあ」
「まずはEのリードですね。とはAがあるから出しにくいので、の8が出てきそうですね」
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