「全員そろってるわね?切符も持った?Suicaの人は用意してね。じゃあ、出かけましょう」
今日は11月9日、日曜日、ただいま午前8時半。日曜なのに、どうしてボクたち5人がこんなに早く横浜駅なんかに集まってるかというとね、そう、今日は ジュニア・ミニブリッジチーム選手権の日だから!これからみんなで四谷まで行くんだよ。早起きしたけど、今日はちっとも眠くないよ。
ボクのママが先頭に立って、みんなぞろぞろと改札をぬけた。今日はツキノワ君のママもいっしょなの。ツキノワ君のおうちはパパもママも学校の先生だから、ふだんはお仕事があってブリッジのレッスンを見に来たりはできないんだ。だけど、今日はお休みの日だから、ツキノワ君の晴れすがたを見たいんだって。今朝、ツキノワ君のママがにこにこしながらそう言ったとき、ツキノワくんったら、真っ赤になってたな。ツキノワ君のママは、最近ブリッジをはじめたばかりで、今日はお母さんたちのためのブリッジ教室みたいなものがあるらしいから、そこで勉強したいって言ってた。さすが、先生だね!
ツキノワ君、ホッキョク君、カーチャちゃん、エリーちゃん、そしてボクという、いつものメンバーが電車のなかに勢ぞろい。
「橋之介君、今日はウィニーちゃんはこないの?」カーチャちゃんがそっと聞いてきた。「なかよしの友だちが、お姉さんの学校の文化祭に誘ってくれたんだって。ウィニーはブリッジのほうがいいって言ってたけどね」
「それは残念!ウィニーちゃんの橋之介君へのつっこみ、いつも楽しみなのになあ。ま、今日は私がいるから安心して!」
「うわっ、エリーちゃん!ボ、ボクえんりょしとくよ…」
こんなふうに、みんなとわいわいおしゃべりしているうちに、あっというまに四谷駅についたよ。ここからブリッジセンターまでは、歩いてもすぐ。前にも来たことがあるから、知ってるんだ。健君は、毎月、ここの道場に通ってるんだよね。
四谷ブリッジセンターの地下の会場の受付に並ぼうとしたら、トントンと肩をたたかれた。
「橋之介君、来たね!みんなもおはよう!」「あっ、健君!みんなぁ、健君だよお」すぐとなりには、健君ママもいるよ。
「おはようございます!」
「今日はよろしく!がんばろうな」ホッキョク君がバシッと健君の背中をたたいた。
「あいたたたた…。その元気、試合のほうに使ってよ~」健君の言葉に、みんながうんうんとうなずく。
「そうね。この3か月はみんなでけっこう練習したんだもん。今日はがんばりましょう!」
「チームで戦えるのがいいわね。力をあわせれば強いチームになれるわよ」
「そうですね、みんなの力がそろえば、ひとりよりずっと大きな力になるといわれますからね」みんな、気合いが入ってきたなあ。ようし、ボクだって!
「そうそう、『3本の刀』だっけ?1本じゃ折れても、3本あわせたら折れないって話だよね」「またあ。それは『3本の矢』のお話でしょ!試合が始まる前から気がぬけちゃうじゃない!」
あちゃちゃ…。さっそくやっちゃった!「橋之介君がいてくれると、きんちょう感がほぐれていいですよ」なーんて、ツキノワ君がなぐさめてくれたけど、今日はボクも笑いをとるだけじゃカッコ悪いよね。よしっ!ブリッジでばんかいだぞう!
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