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橋之介のブリッジれぽーと

橋之介のブリッジれぽーと(19)


 

 

橋之介れぽーと(18)
みなさん、こんにちは!橋之介です。
前回のれぽーとで、ボクたちが秋のミニブリッジチーム選手権に向けて練習してること、読んでくれたかな。
今回はいよいよ本番の大会だよ。
いつものなかまと健君の6人で力をあわせてがんばるんだ!楽しみだなあ。
 

「全員そろってるわね?切符も持った?Suicaの人は用意してね。じゃあ、出かけましょう」
今日は11月9日、日曜日、ただいま午前8時半。日曜なのに、どうしてボクたち5人がこんなに早く横浜駅なんかに集まってるかというとね、そう、今日は ジュニア・ミニブリッジチーム選手権の日だから!これからみんなで四谷まで行くんだよ。早起きしたけど、今日はちっとも眠くないよ。
ボクのママが先頭に立って、みんなぞろぞろと改札をぬけた。今日はツキノワ君のママもいっしょなの。ツキノワ君のおうちはパパもママも学校の先生だから、ふだんはお仕事があってブリッジのレッスンを見に来たりはできないんだ。だけど、今日はお休みの日だから、ツキノワ君の晴れすがたを見たいんだって。今朝、ツキノワ君のママがにこにこしながらそう言ったとき、ツキノワくんったら、真っ赤になってたな。ツキノワ君のママは、最近ブリッジをはじめたばかりで、今日はお母さんたちのためのブリッジ教室みたいなものがあるらしいから、そこで勉強したいって言ってた。さすが、先生だね!
ツキノワ君、ホッキョク君、カーチャちゃん、エリーちゃん、そしてボクという、いつものメンバーが電車のなかに勢ぞろい。
「橋之介君、今日はウィニーちゃんはこないの?」カーチャちゃんがそっと聞いてきた。「なかよしの友だちが、お姉さんの学校の文化祭に誘ってくれたんだって。ウィニーはブリッジのほうがいいって言ってたけどね」
「それは残念!ウィニーちゃんの橋之介君へのつっこみ、いつも楽しみなのになあ。ま、今日は私がいるから安心して!」
「うわっ、エリーちゃん!ボ、ボクえんりょしとくよ…」
こんなふうに、みんなとわいわいおしゃべりしているうちに、あっというまに四谷駅についたよ。ここからブリッジセンターまでは、歩いてもすぐ。前にも来たことがあるから、知ってるんだ。健君は、毎月、ここの道場に通ってるんだよね。
四谷ブリッジセンターの地下の会場の受付に並ぼうとしたら、トントンと肩をたたかれた。
「橋之介君、来たね!みんなもおはよう!」「あっ、健君!みんなぁ、健君だよお」すぐとなりには、健君ママもいるよ。
「おはようございます!」
「今日はよろしく!がんばろうな」ホッキョク君がバシッと健君の背中をたたいた。
「あいたたたた…。その元気、試合のほうに使ってよ~」健君の言葉に、みんながうんうんとうなずく。
「そうね。この3か月はみんなでけっこう練習したんだもん。今日はがんばりましょう!」
「チームで戦えるのがいいわね。力をあわせれば強いチームになれるわよ」
「そうですね、みんなの力がそろえば、ひとりよりずっと大きな力になるといわれますからね」みんな、気合いが入ってきたなあ。ようし、ボクだって!
「そうそう、『3本の刀』だっけ?1本じゃ折れても、3本あわせたら折れないって話だよね」「またあ。それは『3本の矢』のお話でしょ!試合が始まる前から気がぬけちゃうじゃない!」
あちゃちゃ…。さっそくやっちゃった!「橋之介君がいてくれると、きんちょう感がほぐれていいですよ」なーんて、ツキノワ君がなぐさめてくれたけど、今日はボクも笑いをとるだけじゃカッコ悪いよね。よしっ!ブリッジでばんかいだぞう!

 
 
「さあみんな、受付がすんだわ。10時から開会式よ」ママがみんなに声をかける。「わかってると思うけど、3組のペアのうち、1回の試合には2組だけが出るのよ。だから、あとの2人はお休み。これを交代でやりましょうね。午前中は予選よ。3試合あって、その結果、上位4チームが勝ち残るんですって。準決勝と決勝はお昼を食べてからよ」
「夕方までかかるな。トーゼン優勝狙いだし」ホッキョク君はそういって、空手の型のポーズをきめる。
「はりきってるわね。でも、もし準決勝に残れなくても、午後もゲームに参加できるわよ。だから、どっちみち、1日たっぷりミニブリッジができるわね」
「あ、あのう、ママ?お昼ごはんはどうするの?ママは今朝、お弁当作ってこなかったでしょう?」ボクはまた食べ物のこと?って怒られるんじゃないかと思って、おそるおそる、きいてみた。
「だいじょうぶ。ちゃあんと考えてますからね。お昼になったらのお楽しみよ」ママが意味ありげにウインクしてくれたので、ボクはひとまず安心した。でもお昼ごはんのことを考えたら、なんだかもうおなかがすいてきちゃったよ。
「橋之介、いまは食べ物のことは忘れて、試合に集中だ!今日のペアはいつもの練習どおりだよな?」ホッキョク君は、スポーツの試合のときのような、キリっとした雰囲気になってきたよ。これはボクだって負けていられないぞ。
「そうね、健君と橋之介、エリーちゃんとカーチャちゃん、ツキノワ君とホッキョク君のペアよね。みんな息があってるし、練習もしてきたものね。ペアを変えたいという人はいないわよね?」確かめるように、ママがみんなを見まわす。そしたら、エリーちゃんってば、「健君、遠慮しなくていいのよ。でも橋之介君を健君より上手にリードするのはむずかしいかな」だって!
「ひどいや、エリーちゃん。ボク、ブリッジなら、けっこういけるんだよ」思わず、ムキになっちゃった。でも、健君がすかさず、「わかってるよ、橋之介君に助けてもらうことも多いもん。ボクたち相性いいよね。今日もいつもの調子でいこう」って言ってくれたんだ。すごいフォローでしょ。これだから、健君って最高なんだ。
「それで、出番はどうしましょうか?午前中の予選は3試合あります。対戦するチームは1回目しかわかりません」ツキノワ君がそうみんなにきいた。
「そうだなぁ、どうしよっか。絶対に勝って、準決勝に出たいしなぁ。相手にもよるよね?」「試合の結果を見ながら、毎回決める?」いろいろな意見がとびかう。
「でも、せっかく3試合あるんだから、3ペアが2回ずつ出たらどうかしら?それに、相手にもよるって、私たち、ほとんど誰も知らないじゃない」カーチャちゃんのこのひとことで、午前中はみんなが2試合ずつ出ることに決定した。
「あとは順番ですね。どうやって決めましょう?」「じゃんけんでいいんじゃない?」
あれこれ言ってた割に、結局、ボクたちはじゃんけんで出番を決めた。1試合目は女の子ペアと健君とボク。2試合目は男の子たちばかり。3試合目は女の子ペアとホッキョク君・ツキノワ君ペアで、ということになった。
 

出番を決めたりしているうちに、10時になった。「それでは、開会式を始めますので、みなさん、よく聞いて下さいね」道場担当のまーさ先生がみんなに声をかける。
お話を聞きながら、ちらちらまわりを見まわすと、たくさんチームが集まってるよ。みんな、ちょっときんちょうしてるみたい。けっこう小さい子もいるけど、 だいたいボクたちくらいから、中学生くらいまでが多いみたい。うわあ!この子たち、みーんなライバル?なんだか、いまさらながら、ドキドキしてきたなあ。
ボクが心のなかでそう思ったとき、「みんなブリッジのなかまね。ブリッジで新しいお友だちが増えるわね。うれしいわ」カーチャちゃんが小さな声でつぶやいた。
そっかあ、みんなブリッジ友だちだね!カーチャちゃん、ナイス!まるで、ボクの心が読めちゃったみたい。ボクたちのチームって、ホント、つっこみもフォローもばっちりすぎると思わない?
開会式が終わると、すぐに試合開始だ。ボクたちのチーム名は『ヨコハマ・ベアーズ』。健君はクマ族じゃないけど、この名前を提案してくれたのは健君なんだ。ほんとサイコーのチームでしょ?目標はもちろん、優勝だよ!みんな、健君ママが用意してくれたおそろいのバンダナを首に巻いてるんだ。
「じゃあな、1試合目、がんばれよ!」ぬけ番のホッキョク君がみんなにカツを入れた。「うん!がんばるよ」みんなでハイタッチしてから、ブリッジテーブルについた。
ぬけ番のホッキョク君とツキノワ君、それにママたちは、1階に特別に用意されたブリッジができるスペースに行くみたい。ツキノワ君のママは、ノートとペンを持ってやる気まんまん。さすが、ツキノワ君ママだね。
1試合目の相手は、東京の小学5年生の女の子たち。ボクたちのチームメートもカーチャちゃんとエリーちゃんだから、男の子は健君とボクだけ。ちょっと、照れちゃうなぁ…。なーんて喜んでる場合じゃ、なかったよう。しっかりしなきゃ。
「よろしくお願いします」みんなであいさつしてから、1ボード目にとりかかった。

 
 
ハシノスケ
4ボードが終わって、エリーちゃんたちのテーブルをみると、もう終わってるみたい。ホッキョク君とツキノワ君もテーブルにもどってきてるよ。ボクたちも、いそいで横浜ベアーズのホームテーブルにもどって、みんなでスコアをつけはじめた。
「健君、ボク、けっこううまくいったと思うんだけど…」「そうだね。でも、相手もしっかりやってたから、これは接戦かもね」
結果は10点差でベアーズの負けだった。「ええー!たったの10点?」「計算まちがえていないか、もういちど確かめてみましょう」3回も計算しなおしてみたけど、やっぱり10点差の負けだった。
 
1番ボードはどちらもN の4 4メイク。続く2番ボード、3番ボードもまったく同じコントラクトとメイク数で、引き分け状態。最後はボクがプレイした4。ジャストメイクだったんだけど、あちらのテーブルでは3NT4メイクで、620点と630点の差の10点で負けちゃったんだ。
「そっかあ、3NTかあ。なんだか練習のときにもそういうのあったよね」ボクはなんだか泣きそうになってきちゃった。
「そんなの仕方ないわよ。ドンマイ、ドンマイ」
「そうよ。次にがんばればいいのよ。一度負けたって、まだ準決勝への望みが消えたわけではないし」ベアーズでいちばん上手なエースペアのエリーちゃんとカーチャちゃんがなぐさめてくれる。
「そうだよ。気を取り直して、がんばろうぜ!」なんだか、ホッキョク君もいつもよりうんとやさしいよ。ようし。ここでめげずに、がんばらなくちゃね。
 
 
2試合目はベアーズの大勝利!カーチャちゃんたちが出ていないのに勝てたので、ボクたちは大コーフン!でも、相手チームの子たちは今年の夏にはじめたばっかりなんだって言ってた。女の子2人、男の子2人のチームで、男女のきょうだい同士なんだって。今回はボクたちが早く終わったから、いろいろおしゃべりして教えてもらったんだ。
「相手は夏にはじめたばかりなんだから、ボクたちが勝ったからって、そんなにはしゃいじゃいけないよね」健君が相手チームの子たちには聞こえないように、はしゃいでるボクたちにそっと言った。ボクたちは、はっとした。そうだよね。ボクだって、さっきはあんなにくやしくて、悲しかったんだもんね。負けた方の気持ちにもならないとね。
3試合目もベアーズが勝ったので、これでボクたちは、午後の準決勝に出場できることになった。
「やったね!」「うん!」「よかったあ!!」みんなで、またハイタッチした。
あ、でもはしゃぎすぎちゃいけないよね。気をつけなくちゃね。
 
 
 
「よし!じゃあ、午後にそなえて、お昼ごはんで元気をつけよう!」
「そうだ!お昼だよ!アタマを使うと、ものすごくおなかが減るもんね。準決勝進出ってきいてほっとしたら、よけいおなかがすいちゃった。もう死にそうだよう~ 」
「っもう!橋之介君ったら、オーバーなんだから!」エリーちゃんにまた笑われちゃった。「でもたしかに、準決勝に残れて安心したら、急におなかがすいたかも」
「そりゃあ、これだけアタマを使えばあたりまえだよ。運動してないけど、今朝は早起きだったしな」
「ところで、ママたちはどこに行っちゃったの?ボク、もう気をうしないそうだよお。お昼はお楽しみって言ってたのにい」
ボクが椅子にへたりこんだとき、やっとママたちがもどってきた。あれえ? みんなおっきな荷物を持ってるよ。ツキノワ君のママがかかえてるものって、もしかして、特大サイズのランチバスケット?
「さあ、みんな、お待たせしました。今日のランチはカーチャちゃんとエリーちゃんのママが、うでによりをかけて作ってくれたランチボックスよ。楽しみね!」
「さっきホッキョク君のパパが、受付に届けにきてくださったのよ。お昼からテレビのお仕事があるので、車でいらしたんですって。飲み物の差し入れは、ホッキョク君のママから。今日の結果報告を楽しみにしてるっていうメッセージつきよ」
「やったあ!は、早くごはんにしようよ~」
「さあ、椅子にたおれてる人はほうっておいて、みんな手を洗って、休憩スペースにいきましょう。ゆっくりランチできるわ」
「ま、まって。ボクも行くよお~」
というわけで、やっとありついたお昼ごはんのおいしかったこと!正直言って、初めのころは何を食べてるかもわからないくらいおなかがすいてたんだけど、カーチャちゃんとエリーちゃんのママたちが、ものすごく張り切ってお弁当を作ってくれたことはよくわかったよ。
イラスト
ハンバーガーにポテト、カーチャちゃんママの特製ピロシキ、オニオンリングにフライドチキン、クラブハウスサンド、ソーセージにトマトサラダ、フルーツいろいろ、っていうバスケットもあれば、おにぎりやのり巻きが入ってるお重箱もある。おかずのお重には、卵焼き、串カツ、お芋の甘煮にきんぴらごぼう、お漬物…。ぜーんぶおいしそう!おまけに、小さなパイとゼリーもたっくさんあるよ。
「カーチャちゃんのママも、エリーちゃんのママも、ほんとにお料理上手ねえ。どれもみんな、すごくおいしいわ。プロ級ね」
「盛りつけもお上手よね。センスがよくて、彩りもきれいで、楽しいわ」「ベアーズスクールのママたちはすてきな方ばかりね。健のおかげで、横浜にもいいお友だちができて私もうれしいわ」「私は今日はブリッジがだいぶわかるようになったわ。午後もおつきあいしてくださいね」
ママたちの楽しそうなおしゃべりを聞きながら、ボクたちはのんびりデザートを楽しんでた。ああもう、シアワセ。このあと、ほんのちょっとだけお昼寝できたら、もうホントにサイコーなんだけど。
「橋之介君、午後の試合の作戦会議よ。橋之介君ったら!」
やっぱり、エリーちゃんだ。もうっ!いっつも、ボクのハッピーなリラックスタイムをじゃまするんだよね。せっかく、おなかいっぱいでいい気分だったのに…。
「なんか言った?ま、いいわ。準決勝に出るペアだけど…」エリーちゃんに手を引っ張られて、ボクはわれにかえったよ。「よーし、午後もみんなで力をあわせて『3本の刀』方式だ!」「だからあ、『3本の矢』だってば!何回言えばわかるの?!」
みんなの笑い声のなか、健君が「ボクたちは『6本の矢』だね。3本の2倍だけど、きっともっと大きな力が出せるよ。とってもいいチームだもん」と言った。みんな思わず大きくうなずいた。ママたちも、にっこりほほえみながら、ボクたちの話を聞いている。なんだかジーンとしちゃったけど、このチームワークで午後の試合もがんばるぞう!
 
 
 
 
今日のきょうくん(教訓)
ブリッジはやっぱ最高! 新しい友だちがどんどんできる!
試合で勝つのはうれしいけど、負けた相手のことも考えよう。
「仲間が力をあわせれば、1人のときの何倍もの力が出せる」っていう話は、『3本の矢』。刀を3本も折ろうとするなんてアブないし、自分がケガする。
 
 
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