「今日はまずウィークリーゲームで注意することを簡単にお話しするわね」早速、ママの説明が始まった。今日のようすでママがやっぱりまだ早いなあって思ったら、ウィークリーゲームに参加できなくなっちゃうから、みんな真剣に聞いてるよ。もちろん、ボクも!
「受付をしたあとは、席を指定されたらその席に、特に指定されなかったら空いている席に座ります。Nに座った人はいろいろお仕事があるから、もしウィーク リーに本当に参加することになったら、みんなはできるだけEW側に座ってね。Nの人はどんなお仕事をするか、わかりますか?」
ボクは勢いよく手を上げた。「はい!公式スコアをつけて、相手の人に確認してもらいます」Nの人はスコア係だもんね。「そうね。ほかには?」ママがさらにたずねると、「ボードの管理をします」カーチャちゃんが付け加えた。「えっ?『ボードの管理』ってなあに?」思わず、ボクはカーチャちゃんを振り返った。
「プレイを始める前に、そのラウンドでプレイするボードかどうかをまず確認するんです。確認したら、ボードを正しい向きでテーブルの真ん中に置いて、それからプレイを始めます」ツキノワ君が説明してくれた。「なあんだ、そのことか。『管理』なんて難しい言葉だから、もっと大変なことかと思っちゃった」「それだけではありませんよ。ラウンドが終わったら、指定のテーブルに自分たちがプレイしたボードを持っていきます」
「そっかあ。ボードを運ぶのも、Nが係なんだね。でも、指定のテーブルってどうしたらわかるの?」
「カーチャちゃんもツキノワ君も、よく知っているわね」ママが目を細めた。「そう、ボードを次に使うテーブルに移動するのもNの役目なの。指定のテーブルはガイドシートに書いてあるから、それを見て確認してね」
「Nって、忙しいんだな。オレはEWかSに座ることにするよ」ホッキョク君が大きなため息をついた。「うん。ボクもそうしよ!ってことは、ボクとホッキョク君がペアになると、まずいね」ボクがそう言うと、みんなが笑った。
「あらあら、ちゃんとみんなができるって約束してくれなくちゃ、OKを出せないわよ。それに、Nの仕事はSがお手伝いしてもいいのよ。2人で協力して確認するようにしてね」「なーるほど、協力するってわけか。それなら、いいや」ホッキョク君もちょっとほっとしたみたい。
「ボードの管理、公式スコアの記入のほかにも、まだお仕事はあるわよ。毎回、ラウンドが始まる前に、対戦相手にまずごあいさつしてから、ペア番号を確認してね。たまに、相手がテーブルをまちがえてしまうこともあるから。それから、EW側に座ってものんびりしていないで、ボードやスコアの確認は自分たちでもしましょうね」ママの説明を聞きながら、ツキノワ君はすごいスピードでメモをとっていた。
「なんだかやることがいっぱいあるけど、『習うよりなじめ』ってことだね!」ボクがそういうと、みんながしーんとなっちゃった。あれれ?また、ボクまちがえた?
「またあ。それを言うなら、『習うより、慣れろ』でしょう…」エリーちゃんがため息まじりにそう言った。「あれえ、そうだっけ?」「まあまあ、慣れるとなじむは似てますから。とにかく実際に体験して、みんなで徐々に慣れていきましょう」今日もナイスフォロ ー。ツキノワ君って、やさしいなあ。
「そうね、実際に経験してみないことには、できるようにならないかもね。ウィークリー行ってみるのもいいかもしれないわ」
「あれ?ママ、ウィークリーゲームに行くのOKしてくれる方に変わってきたの?ボクのまちがいも、まんざらじゃあないね!」「まったあ!そんなことなこと自慢するんじゃないの!」いててて・・・。エリーちゃんに、バンって背中をたたかれちゃった。
「じゃあ、説明はこの位にして、少しプレイしてみましょうか。ただし、今日はウィークリーゲームでプレイしていると思ってやってみてね。1ラウンド4ボー ドということにして、1ラウンド終わったらメンバーを交代することにしましょう」ママはそう言うと、ブリッジの大会で使うようなスコア用紙をテーブルの上に置いた。
「うわっ、今日はプライベートスコア用紙のほかにもスコアがあるんだね。ようし、ウィークリーゲームだと思ってやってみよう」
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