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橋之介のブリッジれぽーと

橋之介のブリッジれぽーと(16)


 

 

ふんだり、けったり
みなさん、こんにちは。橋之介です。
もうすぐ夏休み!今年もJCBLのジュニアくらぶでミニブリッジ大会があるからみんなで出ようねって、ボクたち張り切ってるんだ。そして、いい成績が取れるようにボクたちはママに特訓(?)をお願いしたの。
今度の大会はがんばるぞう!
ママ、必殺技を教えて~
 

夏休みも近づいてきたある土曜日。今日はママのレッスンの日だ。みんな、もう全員集合している。外の天気はまだ梅雨模様だけど、ボクたちはいつもよりもっと張り切ってた。だって、今日はママに必殺技を教えてもらうんだもん!
え、必殺技ってなにって?あのね、実はこういうわけなの。

 


その前の日の放課後、いつものみんなと教室でわいわいおしゃべりしていたら、カーチャちゃんが「そういえば、JCBLのジュニアくらぶから夏休みのミニブリッジ大会の案内がきてたわね」と思い出したようにつぶやいたんだ。そしたら、ツキノワ君が「うん、ボクのところにも届いたよ。みんな、参加する?」っ て。
「もっちさ!なあ、橋之介?」と、ホッキョク君がボクの背中をバンとたたいて、「今度の大会ではいい成績が取れるといいなあ。そうだ。明日のレッスンで橋之介のお母さんに、必勝のコツを教えてもらおうぜ」って提案したの。
「ま、ホッキョク君ったら。でも、大会のときにどうしたらいいのか、私も橋之介君のお母さまにきいてみたいわ」ってエリーちゃんも大賛成。

 

 
「ねえ、ママ、8月のミニブリッジ大会には、みんなで出ることになってるの。だから、ボクたち、今日はミニブリッジのおさらいをバッチリしたいんだ」ボクは、ママに言ってみた。「あら、みんな熱心ね。いいわよ。それじゃあ、今日はコントラクトブリッジじゃなくて、ミニブリッジをやりましょうね」とママが答える。
「で、そのうー。とくに、大会に勝てる必殺技を教えてほしいんだけど…」ボクがママの顔色を見ながら言うと、ママは最初、目をまんまるにしたかと思ったら、次のしゅんかん、ぷっと吹きだした。「あらあら、必殺技だなんて、威勢がいいわねえ」ママはまだ必死で笑いをこらえてるみたい。「必殺技なんてブリッジにはないけど。そうねえ、気をつけるといいことはいろいろあるから、今日は少しそういうことをおさらいしましょうか」
「は~い」みんなで元気よく返事した。よかった。必殺技じゃないけど、なにかは教えてもらえそうだよ。
「とりあえず、ミニブリッジをやってみましょう。そして、みんなが注意したらいいことを後で言いますからね」
ママがそう言ったので、ボクたちはさっそくいつものように抜け番を決めて、シャッフルをはじめた。
ゲームかノーゲームか
 
 最初の抜け番はツキノワ君。ボクとカーチャちゃん、ホッキョク君とエリーちゃんがペアになった。最初のハンドでみんなが点数を発表しあう。カーチャちゃんが9点、ホッキョク君が8点、エリーちゃんが10点、そしてボク13点。ってことは、ディクレアラーはボクだね。カーチャちゃんがカードをひろげたので、ボクはダミーとのにらめっこを開始した。
 
わお!があわせて10枚もあるよ。切り札はで決まりだね。ゲームはどうしようかなあ。たくさん取れそうだけど、2人あわせて22点しかないもんね。やっぱ、ゲームはやめておこうっと。
切り札でノーゲームでやります」ボクはそう宣言した。 左手のホッキョク君から、のQが出てきた。あ、ってことはホッキョク君はのJも10も持ってるってことだよね。3枚続いている絵札は上から出すのがお約束だもんね。すると、ホッキョク君はのAもKも持っていないんだ。相手のお約束からも、いろいろわかって便利だよね!
 
ハートQで勝ったホッキョク君は次にを出してきた。ボクはこれをAで勝って、ハートをダミーで切った。うーんと次には何するんだっけ?そうそう。切り札ありでは、相手の切り札を切るのに使わせないために、切り札狩りをするんだったよね。
ボクがダミーのAを取ると、ホッキョク君からもエリーちゃんからもが出てきた。ボクたちはあわせてを10枚持ってて、いま相手側から2枚出てきたから、残りは1枚!ボクはもう一度を出してKで勝った。これで、もう相手側の切り札はなくなったよね。ようし、じゃあ、次はダミーでハートを切ることにしようっと。
ボクはダミーでハートの小さいカードを2回切った。結局、負けたのはハートがひとつとがひとつだったので、11勝2敗、つまり5メイクだね。
プレイが終わると、ママが「じゃあ、いまのハンドの復習をしてみましょうね」と言った。「みんな、自分の手をひろげてみて」
みんなが手をひろげると、全体は次のようになっていた。
 
「橋之介は上手にプレイできたわね。5メイクもしたもの」ママがほめてくれたので、ボクはくすぐったくなった。「これでスコアをつけると何点かしら?」とママがたずねると、抜け番のツキノワ君がすかさず、「のノーゲームで5メイクなので200点です」と答えた。ツキノワ君はあいかわらず、計算が速いなあ。 「じゃあ、もしこれをゲーム宣言していたら、何点かしら?」ママが再びたずねると、「ゲームだったら650点です」ツキノワ君がまたすぐに答える。「そう、よくできました。ということは、ゲームを宣言するとしないとでは、450点も差があるわけよね」
 
ほんとだね。ボク損しちゃったかな?「橋之介はどうしてゲーム宣言しなかったの?」今度は、ママはボクだけにたずねた。
「うーんと、が切り札ならたくさん取れるとは思ったんだけど、点数が少ないからゲームは無理だと思ったの。だって、のゲームができる目安の点は26点でしょ?」
「そうだったわね。よく覚えていて、えらいわ。じゃあ、たくさん取れそうと思ったのはなぜ?」ママがまた質問してくる。
「えーっと、えーっと」ボクは最初に考えたことをいっしょうけんめい思い出そうとした。そうだ。「あのね、ハートは絵札がないけど、ダミーが1枚しかないから、切れると思ったの。だからハートはひとつしか負けないですむかなって」
「そのとおりよ。じゃあ、みんなに聞くけど、この手でほかに負けそうなカードはなにかしら?」「がひとつだけです」今度はカーチャちゃんが答えた。「はどうしてもひとつ負けてしまいそうですけど、クローバーは橋之介君の手は2枚だけでAとKがあるので、大丈夫です」
「大変よくできました。そう、つまり、橋之介の手とカーチャちゃんのダミーの手をふたつあわせて負けそうなのは、ハートたったのひとつずつだったってことよね。だから、この手では橋之介はゲーム宣言をするべきだったのよ。負けそうなカードはルーザーって呼ばれているのは、前に勉強したわね」
ボクはようやくのみこめてきた。「そっかあ。点数が少なくても、ゲームができるくらいにルーザーが少なかったら、ゲーム宣言していいんだね」ボクは手をぽんとたたいた。
「ここで、みんなにゲーム大会ではどのように順位をつけているかを簡単に教えるわね。みんな、大会に出たことがあるから知ってると思うけど、大会では全員が同じ手をプレイするの。そして、それぞれのテーブルの結果を比べて、より多く得点した人が順位が上になるのよ」ママの説明にみんな聞き入っている。「だから、もしこの手が大会で出てきたとしたら、ゲームを宣言した人とそうでない人では差がつくわけ」
「なーるほど。ゲームができそうな手ではゲーム宣言するかしないかが、とっても大切ってわけですね」ホッキョク君が感心したようにつぶやいた。「ようし。今度の大会ではゲームができそうなときは、どんどん宣言するぞ!」
「そっかー。ボクもそうしようっと」ボクもホッキョク君に賛成した。すると、ママが、「あらあら、これはべつに大会でなくても、とても大切なことなのよ。ゲームができそうなときは、2人あわせて点数が目安より少なくても、思い切ってゲーム宣言してみてちょうだいね」と言って、ウィンクした。
マイナーのゲームかNTか
 
ボクたちは次のハンドにとりかかった。今度はカーチャちゃんが11点、ホッキョク君が8点、エリーちゃんが6点、そしてボク15点。あれ、またボクがディクレアラーだよ。
 
ダミーには立派なクローバーがあるよ。ボクがクローバーKとQを持ってるから、クローバーは負けなしだね。ゲームはどうかなあ。さっきみたいにゲームの目安の点に足りなくてもゲームができるときもあるから、今度はよーく考えなくちゃ。
えーっと、クローバーのゲームの目安の点は29点だっけ?ボクたちはあわせて26点しかないから、だいぶ足りないなあ。クローバーのゲームだと2つしか負けられないんだよね。ボクはさっきのきょうくんを生かして、ルーザーを数えてみることにした。
はAに負けちゃうけど、それだけでOK。はダミーがAの1枚だからぜんぜん負けないですむけど、が心配だなあ。Qが取れるかどうかが勝負だね。でも、が取れたら、全部で負けるのはふたつですみそう…。ようし、ゲーム宣言してみようっと。
 
クローバーが切り札でゲーム宣言します」ボクは思い切って言ってみた。
ホッキョク君は切り札を出してきた。ボクは切り札をまず2巡狩ってから、ハートのKを出した。エリーちゃんがハートAを勝って、次にJが出てきた。あれー。やだなー。エリーちゃんの点数は6点だから、はぜったいに左手のホッキョク君だよね。ボクはQを出したら負けちゃうのがわかったので、Aで勝って、仕方なくを出した。でも、そのあとどうすることもできずに、結局、でふたつ負けてしまった。
「じゃあ、この手も復習してみましょうね」プレイが終わって、ママがボクたちに声をかけた。みんなが手をひろげると、全体は次のようになっていた。
「橋之介、今度はどうしてゲーム宣言したの?」さっそくママの質問が飛んできた。
「さっき、点数が目安より少なくてもゲームができることもあるって勉強したから。Qが取れれば、ふたつしか負けないですむから、ゲームができそうって思ったの」ボクは小さな声で言った。
「そうね。Kの位置次第で、ゲームが成功したかもしれなかったわね。でも、なぜクローバーのゲームにしたの?」
ママにそうたずねられて、ボクはすぐさま「だってこんなに立派なクローバーなんだもの」と答えた。 「NTだと、いくつ負けてもいいの?」ママがまたたずねてくる。

「4つ」ボクは答えながら、あっと思った。「そっかー。クローバーじゃなくて、NTのゲームにすればよかったんだね!」
「正解です。この手はクローバーだけで7つも取れるでしょう。あとはスペードAとダイヤAで9つ勝てるものね。ハートはKとQがあるから、相手側に攻められてもくい止めることができるから大丈夫なのよ」
「なーるほど!こりゃー、目からウツボだね!」ボクがそういうと、みんなが爆笑した。「あれ?違ったっけ?」
「もう、橋之介君ったら。それを言うなら、目からウロコでしょ!」エリーちゃんにまたつっこまれてしまった。
「マイナーのゲームはふたつしか負けられないから、よいマイナースーツがあるときにはまずNTのゲームを考えてみるようにしましょうね」ママがそう言うと、「これも、必勝のコツだね!」とホッキョク君がガッツポーズをしながら言った。
「あー。お勉強になったけど、疲れちゃったよ。ツキノワ君、抜け番代わってくれない?」ボクはそう言って代わってもらった。今日はいろいろ勉強になるなあ。もっともっとがんばらなくっちゃね。
 
今日のきょうくん(教訓)
目安の点より少なくてもゲームはできることがある。
ゲーム宣言が大切。
良いマイナースーツのときはNTのゲームを考える。
目から落ちるのはウロコ!
 
 
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